2008年9月26日金曜日


衆議院見学

田嶋要・民主党衆議院議員のアレンジで衆議院見学の機会を得た。氏の講演会で希望を出しておいたら案内をもらった。私は今まで政治に関し てはマスコミ頼みで、講演会にも見学会にも出たことがなかった。どちらも初めての経験だった。国会は東京の新観光名所で大勢の見学者が来るようになったと いう。喜ばしい傾向だ。
1時間ほどかけて集合場所に着く。参加者は9名。男子3、女子6。私が最高齢で年層はバラバラ、一番若いのは多分20台の女性。講演会で もそうだったが、近所からの出席者がいた。与党側の後援会の噂も聞く。私の近隣はけっこう意識が高い地区のようだ。衆議院別館側から入る。正門の反対側 だ。案内は事務所の公設第一秘書の若い女性。腰は低いが話すと勝ち気が漏れ伝わってくる。秘書は国会にあと1人、現地に4人という。見学は10:30から 14:30までの4時間であった。
受付前で秘書から通行証を渡される。各代議士事務所に1枚ずつ保有されている衆議院内通行見学に欠かせないIDカードだ。私のは自民党議 員のものであった。自由に融通しあえる品物らしい。参議院には別途の入場手続きが必要である。国会は休会中なので議員の殆どは不在であったが、民主党幹部 と国民新党幹部の在館ランプが点灯している場所があった。合併問題が議論されているようだと秘書は言う。夕刊にその記事が出ていた。共産党の控室に記者が 集まっていた。翌朝の読売新聞に「共産、公認半減」の見出しと、立候補のない地域の共産党票が民主党に流れた場合の影響が出ていた。両方合わせたら20名 を超すのではないか。民主党の強勢を考えると、秋の総選挙では政権交代あり得べしと思わせる。議場傍聴席最前列の記者専用席の列、委員会の記者席、廊下の テレビ機材の列など、休会で静まりかえってはいたが、マスコミの活躍ぶりが偲ばれる。事務室や控室、個室にもテレビが備わっていて、一般大衆との仲立ちを するマスコミの政治に占める重要性を伺わせた。議場の議席は着席者が固定しているから机に各議員の資料が入っている。年金問題の急先鋒・長妻議員の資料は 群を抜いて多かった。
途中昼食前に議員会館の田嶋要事務所に議員を訪ね、半時間ほど懇談した。大学の教授室ほどの意外と狭い部屋である。田嶋議員はいろいろ立 て板に水を流すように話した。政権交代がなければあらゆる官僚システムが腐るというのが氏の根本信念で、日本の長期一党政権がいかに弊害の多い体制かを説 く。中国も北朝鮮もそうだというのがお笑いで、でも説得力のある例示なのだ。長妻議員に見習って、見学会を精力的に主催するようになったと言う。民衆から 具体的な問題点を吸収する手段として活用している。官僚は政権党の下僕で、情報は与党のスクリーニングを通ってからでないと野党や外部に出てこない。長妻 議員のように、一旦民衆に、問題を動かす実力が認められると、自動的に情報が集まり出す。与党の誰が年金不正問題を取り上げるであろうかと田嶋先生は言 う。それはその通りである。翌朝の新聞に、民主党に、新たな社労庁職員の不正工作が被害者から告発されたと報じられた。警察や検察に持ち込まれずに、民主 党に持ち込まれる事実は、政界の今後を占う一つのヒントである。長妻議員の新著「闘う政治」の紹介があった。
私は「日本がアメリカや世界の潮流に振り回されるのは、我が国の規模から言って致し方がないことだ。今我が国が財政出動しても潮流を変え るほどの効果はない。」「日本衰微の理由には日本固有のものもある。私は煎じ詰めればそれは少子化に行き着くと思う。福井県の出生率回復のニュースがあ る。世界的にも先進国で施策によって回復基調を取り戻した国がある。」の2点に注目するように言った。家内は過剰な対老齢者ばらまきに苦言を呈したので、 「老齢者の今日は殆どが自己責任相応部分だ。国民が彼らの過去の付けをどこまでも尻ぬぐいせねばならないだろうか。」と付け加えた。我々は次世代年少者の 福祉の優先を願っている。
議員は市内の敬老の集いに出席すべく、懇談が終わるとすぐ千葉に引き返した。地下鉄、JRで行くのだという。雑談であったが、人混みの中 の自己防衛策は可笑しさを超えて悲しかった。スキャンダルのネタにされないように、電車の中では妙齢の婦人の側には近づかないとか、両手はつり革に付けた ままとするとか、いろいろ気を遣わねばならぬそうだ。街頭での政治活動では、わざとぶつかってくる不審人物に何度も遭遇しているという。町の噂では千葉1 区の自民党現議員がそろそろ引退を考えているという。そうなれば2世議員への禅譲のためにも暴露戦は一層激烈になるだろう。
昼食は国会内の食堂で、我々は1200円の特上すしを食った。江戸前のにぎり寿司で安いという印象。その他のメニューもリーズナブルな価 格だった。部屋や調度品は国会と調和が取れている。役所や博物館、美術館、大学などいろんな公共施設の食堂を経験したが、贅沢ではないが清潔でシックな雰 囲気であった。議員会館側にも食堂があった。こちらは会館に合わせた明るい実用的な普通の大衆食堂と言った雰囲気で、メニューの見本も当たり前の献立であ る。
国会全体の雰囲気:重厚な建築物で内装も外見にマッチしている。ただ民主主義議会なんだからもっと明るいトーンの方がいい。戦災はなかっ たらしい。米国が占領後の政策のために残したのだろう。ただ中央突塔部に補修のあとがある。落雷で破壊された部分という。この夏は落雷をたくさん見たせい か、記憶に残った。国会図書館分館がある。議員が調査を行うときは、図書館員が書籍、雑誌などテーマに合わせて集めるそうだ。我々一般は文献を具体的に指 定しないと借り出せぬ。流石に選良のサポート体制は完備している。陛下の御休所をガラス越しに見ることが出来る。ここだけは写真は駄目と言われた。隣に皇 族のお部屋。昭和11年完成の国会議事堂は建設費が2570万円だった。貨幣価値は今の5千倍ほどだろうから、現代なら1300億円程度だ。その10%が 皇室関係の諸設備に当てられたと言った。国会周辺は都会の大学キャンパス同然に建物が混みあっている。狭い国土の宿命だ。それでも正門前桜田門への大通り の両脇にそこそこの庭園がある。昔は長屋でも坪庭を備えていた。最近のマンションは億ションでさえ駐車場をとっても庭を造らない。自然から隔離した環境は いびつだ。貴重な国会前庭を大切にしたい。今回は見学できなかった。
議員を入れた記念写真はすぐに我が家に送られてきた。

('08/09/19)

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