2008年10月17日金曜日

朝日新聞社説

政治とカネ―企業・団体頼みいつまで

 民主党の前田雄吉衆院議員が、離党して次の衆院選に立候補しないと表明した。マルチ商法業者から多額の金銭を受け取り、業界を擁護する国会質問をしていたことで「党に影響を与えないため身を引いた」という。

 近づく総選挙で党が被るダメージを最小限に食い止めるには、早めにけじめをつける必要があると判断したに違いない。

 前田氏が代表を務める二つの政治団体は、04年から07年にかけて、業務停止命令を受けた会社を含む多数の業者らから、あわせて1千万円以上の講演料と献金を受け取っていた。

 商品の購入者が販売員にもなって購入者を増やすマルチ商法には、全国の消費生活センターに毎年2万件あまりの苦情が寄せられる。前田氏は衆院予算委員会の分科会で「キャッチセールスなどと一緒にされて(業界の)みなさんは非常に迷惑している」といった質問を繰り返していた。

 「国会質問とカネ」といえば、参院での代表質問の見返りに現金を受け取り、受託収賄で有罪が確定した村上正邦元労相のような事例があった。

 それにしても政治とカネ、とりわけ企業・団体献金をめぐる不明朗なできごとは、いつまでも後を絶たない。

 発足したばかりの麻生内閣でも、談合事件で公正取引委員会から排除勧告を受けた企業などから閣僚への献金が相次いで発覚した。河村官房長官は、自身が支部長の自民党支部が、排除勧告を受けた法人などから問題発覚後に計410万円の献金を受けていた。

 似たようなケースは、中川財務兼金融担当相や小渕少子化担当相らにもあった。麻生首相の党支部も、社長が汚職事件で今年起訴された医療機器販売会社から献金をもらっていた。

 マルチ商法がらみでは、きのうの参院予算委員会で野田消費者行政担当相が、これを新産業として認知すべきだとの質問を12年前にしていたことを明らかにし、業者からの献金があったかどうか調べて報告すると答弁した。

 河村長官らは、違法性はなくとも道義的な見地から返金する意向を示した。あわてて返さねばならないようなお金を受けること自体、企業との関係が極めて ルーズになっている証拠だ。自民党はこうした企業からの献金には党としてルールをつくるというが、法で規制するのが筋だろう。

 今年も共産党を除く各政党に総額319億円の政党交付金が渡される。この制度の導入にあたっては、当時の細川政権与党も野党だった自民党も、将来は企業・団体献金は縮小廃止する方向で議論していたはずなのに、すっかり忘れてしまったようだ。

 企業・団体頼みをいつまで続けるのか。各党がどんな態度を示すのか、総選挙でも目を凝らしたい。



橋下知事「園児の涙利用」と保育園側を批判 行政代執行


 大阪府の橋下徹知事は17日、第2京阪道路の用地買収に応じなかった門真市の北巣本保育園の畑を行政代執行で強制収用したことについて、「政治的な主張や反対の理由はあると思うが、園の所有者は園児たちの涙を利用して阻止しようとした。一番卑劣な行為だ」と批判した。

 同保育園では今月末にイモ掘りを予定しており、園児たちが育ててきたサツマイモなどが16日の行政代執行で引き抜かれた。

 橋下知事は「4月から任意交渉はしている。最大の権力行為なので慎重にやった。最後のイベントをやったら立ち退きます、という話があれば応じた」と説 明。「もしあれを認めたら、これから公の工事は家庭菜園かイベントで全部阻止になるのか。工事費や損害などを府民が持つならいいが、府民の声はそうではな いと判断した」と語った。

 一方、同保育園の松本剛一理事は「代執行の反対運動に園が園児を動員した事実は一切ないし、むしろ子どもにはショックを与えたくないので、畑がな くなると知らせることも避けてきた。子どもの涙を利用したと取られるのは心外だ」と話している。16日の行政代執行では、祖母に連れられて通園途中に畑に 立ち寄った園児が1人いたが、5分ほどいただけで祖母がすぐに保育園に送ったという。




米グーグル増収増益、ネット広告堅調 7~9月期決算

 【ニューヨーク=丸石伸一】米インターネット検索最大手グーグルが16日発表した08年7~9月期決算は、売上高が前年同期比31%増の55億4139 万ドル(約5600億円)、当期利益が同26%増の13億4616万ドル(約1400億円)となり、増収増益を確保した。

 売上高の97%を占めるネット広告収入が堅調だった。景気減速にともない、広告収入の減少が懸念されていたが、アナリストの事前予想を上回る好決算になった。

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