2008年10月2日木曜日

http://pub.ne.jp/shimura/?cat_id=84552&page=2志村建世氏のブログより

2008।6.30

9.11はアメリカの謀略だった?


今さら何をと思われる方もおられるでしょうが、ここ1週間の音楽談義に入る前に読んだ憲法9条メッセージ・プロジェクトのブックレット「9.11マ スターキーから何が見える?」の内容は、刺激的でした。「9.11事件真相究明国際会議 in 東京から」と副題がついています。内容を簡単にまとめると、あの9.11同時多発テロは、アメリカ政府によって周到に準備され実行された謀略だったという 主張と、その検証です。
 あの事件が、窮地にあったブッシュ大統領を、一躍、世界の英雄に祭り上げる効果を発揮したことは否定しませんが、だからといって全体がアメリカ政府の自 作自演だというのも、私としては信じがたいものがあります。貿易センタービルが下から爆破されたというのも、崩落の現場中継を見ていた実感とは一致しない し、ペンタゴンに突入したのは旅客機ではなくてミサイルだったというのも、それでは乗客を乗せた飛行機はどこへ消えたのかという疑問が残ります。しかしこ の本の筆者たちが、揃って荒唐無稽な架空の物語をしているのでないことも、わかります。
 私は日本軍の真珠湾攻撃がアメリカの謀略だったという説を思い出しました。アメリカにとって、ぜひ欲しかった開戦の動機づけにはなったでしょうが、あれ ほどの損害を出すことまでが計算に入っていたのか、日本の海軍はアメリカの情報操作で動かされていただけだったのか、となると、やはり「利用されたかもし れないが、全部がアメリカの創作ではあるまい」と考えざるをえません。しかしアメリカの世界戦略に基づく謀略の不気味さには、侮りがたいものがあります。
 かつて国鉄のストライキを鎮圧した「松川、三鷹、下山」の3大怪事件にも、アメリカ情報局の影がありました。最近では、北朝鮮との核疑惑問題の幕引き も、天木直人氏が鋭く分析している通り、アメリカの世界戦略の一環に過ぎないでしょう。自主外交のない日本の将来が、本当に心配になります。それが有効と わかれば、北朝鮮から日本に向けてミサイルを発射させるか、その危機感を煽る程度のことは、アメリカにとっては簡単なことでしょう。
 日本の国の安全に役立つのは、迎撃ミサイルを買い込むことではなくて、憲法9条を国防の最強の武器にすることです。テレビや新聞が教えてくれなくても、それくらいのことは私たちの常識にしておきたいものです。

ある兵士の祈り

 南北戦争で廃疾となった南軍兵士が残した言葉と伝えられる
 訳詞・志村建世
 作曲および歌唱・清水英之

神に願った 力をください 手柄を立てる強い力を
けれども私は弱くされた 謙虚にしたがう人になれと

神に願った、健康を 立派なことができるように
けれども弱い体にされた より良いことをしなさいと

神に願った 財産を 幸せな暮らしできるように
けれども貧しさを与えられた 賢く生きる道を知れと

神に願った 能力を 世間のみんなが褒めるよな
けれども弱き者にされた 神よ私を助けたまえ

神に願った すべてをください 楽しい人生を送るため
けれども命を与えられて すべてを楽しむことを知る

願ったものは すべて消えたけど 私の望みは満たされた
こんな私になったけど 心の祈りは叶えられた
この世の誰にも まさる幸せ 祝福された私がいます

  A soldier's prayer
(Attributed to an unknown Confederate soldier)

I asked God for strength, that I might achieve.
I was made weak, that I might learn humbly to obey...

I asked for health, that I might do great things.
I was given infirmity, that I might do better things...

I asked for riches, that I might be happy.
I was given poverty, that I might be wise...

I asked for power, that I might have the praise of men.
I was given weakness, that I might feel the need of God...

I asked for all things, that I might enjoy life.
I was given life, that I might enjoy all things...

I got nothing I asked for - but everything I had hoped for;
Almost despite myself, my unspoken prayers were answered.
I am, among men, most richly blessed!



遠い日の(ロンドンデリーの歌)

北アイルランドのロンドンデリーで19世紀中ごろから知られた民謡で、「世界でもっとも美しいメロディー」と言われます。歌詞にもいろいろあって、 世界で100種類以上の歌詞で歌われているそうですが、地元に伝わるのは、ここに掲げる「若い日の恋の思い出」のほかに「りんごの花になりたい」「わが子 の旅立ち」などです。プレスリーの「ダニーボーイ」も、この曲です。

  遠い日の(ロンドンデリーの歌)

 アイルランド民謡
 訳詞 志村建世

1 遠い日の夢かまことか 北の道たどり来て
  若い日の熱き思いを 踏みしめる石畳
  この坂は出会いの小道 かがやいたあの笑顔
  よみがえる昔のままに 思い出の町ロンドンデリーよ

2 年を経てふたたび訪えば 小雨ふる港町
  海くらく人影もなし あてもなくひとり行く
  君に会う愛の奇跡が いま一度かなうなら
  命さえ惜しまぬものを 思い出の町ロンドンデリーよ

  Londonderry Air

As I went forth to Londonderry Town one day,
The valleys lying round the pathway long,
I saw a Colleen wand'ring thro' the heather there,
With eyes like sunshine, on her lips a song.
I smiled at her and then she sweetly smiled at me,
I walked beside her yet she did not frown.
Oh! this was years and years ago when I was young,
Along the hills that led to Londonderry Town.

Today I pass to Londonderry Town once more,
The world is dark, now falls the dreary rain,
I see no Colleen coming down the heather'd way,
I am alone just with my sighs and pain.
But in a dream she seems to call from long ago,
And in a dream her laughing eyes look down.
I'd give the world to wander here again with her,
Along the hills that lead to Londonderry Town.
 
この歌を、いつか自分の言葉にしてみたいというのは、私の少年期からの夢でした。本当は自分の足でロンドンデリーを歩いてみてから決定版にしたかったのですが、もう、海外旅行はしないことにしました。中田喜直さんも、尾瀬に行かないで「夏の思い出」を作曲したそうです。
(追記・06年5月28日と29日の2回、ロンドンデリーの歌を記事にしています。)

名残りのばら(庭の千草)

長らく文部省唱歌の「庭の千草」として歌われたため、白菊になぞらえて人の操を説く修身教育的な歌になりましたが、元はアイルランド民謡です。詩人 のトーマス・ムーアが伝承から題材を得て3節の歌詞にまとめました。夏の終りに残った最後のばら一輪に寄せて、世の無常と老人の深い悲しみを歌っていま す。すべては土に返る仏教の諦観にも似ていますが、全編を覆う沈鬱な気分は、絶望にも似た深みに達しています。私は最後の救いとして「また来る春を」と置 いたのですが、原詩には、そのような言葉もありません。

  名残りのばら

 アイルランド民謡
 原作詩 T.Moore
 訳詞 志村建世

1 夏の終りに咲く 名残りのばらよ 花の盛りは過ぎ さびしい姿
  友は散り果てて 残るはひとつ ゆれてひそかに咲く 日暮れの庭に

2 ばらよ私のばら いとしい花よ しばし別れ惜しみ 心にきざむ
  やがて散るならば 根元の土に そこがおまえの里 生まれたところ

3 やがて私もまた 土へと返る 友は遠くに去り 残るはひとり
  思いは同じか 花のいのちよ せめて夢見てあれ またくる春を

  The Last Rose of Summer

'Tis the last rose of summer, left blooming alone;
All her lovely companions are faded and gone;
No flower of her kindred no rosebud is nigh,
To reflect back her blushes, or give sigh for sigh.

I'll not lerve thee, thou lone one, to pine on the stem;
Since the lovely are sleeping, go sleep thou with them;
Thus kindly scatter thy leaves o'er the bed
Where thy mates of the garden lie scentless and dead.

So soon may I follow, when friendships decay;
And from love's shining circle the gems drop away!
When true hearts lie wither'd and fond ones are flown.
Oh! who would inhabit this bleak world alone?

いま原詩を読み直して気づいたことがあります。これは「人は一人では生きられない」ことの告白ではないでしょうか。  


2008.6.23

スコットランドの釣鐘草

19世紀初めに成立したスコッランド民謡で、広く世界に知られています。各節の前半は問いかけで、後半は乙女が答える問答形式になっています。いろいろな歌詞があり、日本では「美わしき」という題名で、わが子が君王のために喜び勇んで戦いに出かけるという、忠君愛国の歌詞で歌われたこともあります。

  スコットランドの釣鐘草

 スコットランド民謡
 訳詞 志村建世 

1 おしえてよ きみの恋人 おしえてよ どこにいるのか
   今は遠く 戦の庭に 無事に帰る その日を待つよ

2 おしえてよ きみの恋人 おしえてよ どこの生まれか
   彼の故郷(さと)は 釣鐘草の 咲き乱れる 美しい国よ

3 おしえてよ きみの望みを 恋人に もとめるものを
   彼と二人 かたく結ばれ 誓い立てる 晴の日待つよ

4 おしえてよ きみの心を なに思う 彼が死んだら
   いつも強く わたしの愛は 死にはしない 心はひとつ

  The Bluebells of Scotland

"Oh! where, tell me, where is your Highland laddie gone?"
(1行目をくりかえす・以下同じ)
"He's gone with streaming banners, where noble deeds are done,
And it's oh! in my heart I wish him safe at home."

"Oh! where, tell me, where did your Highland laddie dwell?"
"He dwelt in bonnie Scotland, where blooms the sweet bluebell,
And it's oh! in my heart I lo'e my laddie well."

"O what will you claim for your constancy to him?"
"I'll claim a priest to wed us, and a clerk to say,"A-men!"
And I'll ne'er part again from my bonnie Highland man."

"Oh! what, tell me what if your Highland lad be slain?"
"Oh, no! true love will be his guard and bring him safe again,
For it's oh! my heart would break if my Highland lad were slain."

2008.6.14

華氏911をネットで見る

マイケル・ムーア監督の話題作「華氏911」を見ました。「戦争を語り継ぐ」公開メールの中で偶然に知ったのですが、2時間あまりの劇場用映画を、ネット配信の無料で見たのは、初めての経験でした。短いCMは入りますが、充分に迫力がありました。この7月6日正午まで無料で公開中ということですから、まだ見ていない方には、おすすめです。
 映画はブッシュ大統領の「疑惑の当選」から始まります。もし、このとき得票数の多かったゴア氏が当選していたら、世界の歴史は変っていただろうと思わせ ます。映画のトーンには、皮肉を込めたユーモアが、ふんだんにちりばめられています。ボロだらけだった大統領も、9.11のテロで「テロとの戦い」の英雄 に就任します。そして、思い込みと気ままな情報操作で、イラク戦争へと突き進んで行くのです。得意満面の勝利宣言をよそに、アメリカ兵もイラク人も死につ づけます。
 映画の後半で、イラク戦争がアメリカ企業にとって、なくてはならない財源になっていることが描かれます。さらに戦場へ送る兵士が、失業や不安定雇用の貧 困層から供給されている実情がレポートされます。連邦議会の中で、自分の子供をイラク戦争に送っている議員は、1人しかいないと説明したあとで、議員たち を執拗に追いかけて「息子さんをイラクへ行かせたらどうですか」と話しかけるのは、ムーア監督の真骨頂なのでしょう。
 この戦争がアメリカのグローバリズムと一体のものであるのと同時に、ブッシュ大統領という1人の人物の資質にも負うていることを考えさせます。エンドタイトルの1枚前に DO SOMETHING の文字が出ていたのが印象的でした。 
 この映画は、上映禁止の圧力にもかかわらず、熱烈な支持のもとに大きな興行収入をあげたそうです。アメリカという国の不気味さとともに、自由な批判精神も死んではいない、ふところの深さを感じさせてくれる映画でした。


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